いしずえ

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第四章 中世の思想

 中世紀一千年間は東西両洋とも宗教万能の時代であった。

 何時の時代も弱者や貧者の苦しみは同じである。富める者や権力者は、金と力で豪奢な悦楽、淫楽にふけり、快楽享楽を浴び、人間生活の悲しみや惨めさや苦しみをごまかしてゆくことができるが、貧しい者や弱い者はそれができない。彼等は常に災難や苦難をまともに受け、貧窮と苦悩と迫害に追い回されながら生きてゆかねばならない。腐敗し堕落し荒廃した世の建て直しを期待し待望するが容易なことではやって来そうにもない。

 こうした民衆に手を差しのべ救済し、安心立命の境地を与えるのが宗教である。

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