第五版 序 文
人類はこれまで武力をもって他国他民族を征服し大帝国を樹立したのは幾度かあった。ペルシャ、ギリシャ、ローマ、印度、サラセン、中国(蒙古)等々である。これらの帝国は何れも武力をもって統治したものであるが、何れも短命で、殆ど数代で滅亡している。
これに比し宗教は佛教、ユダヤ教、キリスト教、マホメット教は長命でその版図も又広大であるが、宗教は排他壁強く且つ頑固であるため人類世界の統一は不可能である。唯同一規範にありながら排他壁のない神道は例外である。神道は教祖の作ったものでなく宇宙理法の人間的行為として成り立てて来たものであるからである。この道は人為を超えた天の理法である。
然るに二十世紀後半の現代国際的共同社会が現実的に達成される有力な方法が見い出された。それは武力による世界征服でもなく、宗教でもない。現在我々の日常生活を掌っている科学機械文明である。この文明はギリシャの学芸とキリスト教の教義との結合から創り出された近代文明が創ったものである。近代文明は人間尊重の思想と自由主義の理念と民主主義の論理と合理主義の精神の四つから成り立っている。この四つの作用によって発展し進歩を遂げ、正に人類の理性が達成されようとしたその瞬間暗礁に乗りあげてしまった。というのはこの科学文明が決して理想の社会でないということが月日の経つにつれて次第にはっきりして来た。人間はむしろこの新しい科学文明社会は人類史上未曾有の恐るべき規模の害悪をつくる社会であることに気付いた。
科学機械文明工業化社会は、地球破壊と人間性の破壊を生んだ。その理由は人間尊重の人権主義が国権を無視し国家統治力を弱化せしめ、自由主義は自由競争、弱肉強食、適者生存、優勝劣敗を生じ、民主主義は主権在民、万人が万人を支配し、万人が万人を拘束し、万人が万人を支配する我欲の虜となり倫理道徳を見捨て混乱対立相剋不統一の愚民政治、衆愚政治社会をつくり、合理主義は神秘性や尊厳性に傷付け、感謝と感激性と信頼性を軽んじ精神的倦怠を生んだ。人間の本来性は生命に結ばれた理性感性、悟性と本能の働きに見い出されるものであるが、合理主義は人間をこの具体的面から引き離して没価的に科学と機械と技術を創った。而もその科学機械が人間を支配することになった。人間は唯科学機械の手段となり利害争奪に終始する人間獣と化した。これがいわゆる暗礁である。
自然科学は蒸気機関を発明し、その生産力は人力の一二〇倍、かくて産業革命を惹き起こし、富の配分に関して労務の対立を生じ労働組合、資本主義社会主義共産主義が発生し激烈な階級対立闘争を展開するに到った。
更に戦後、電気石油生産力は蒸気生産力の二五倍、人力の生産の三〇〇〇倍を生産することになった。この強大なる生産力によって蒸気機関の時代の所産である資本主義打倒を目的とする共産主義が躓き倒れてしまった。三〇〇〇倍の生産力は労働時間を短縮し、土曜日、日曜、祭日、連休日を多くしレジャー、バカンスに浮かれ「小人閑居して不善をなす」の諺通り、人間は性悪的動物に改変した。戦後の理想は「平和福祉快楽」である。その基礎土台が「人権、自由、民主、合理」である。バートランド・ラッセルの云う「強盗、泥棒、乞食」社会にならざるを得ない社会状況をつくり出した。快楽主義はスポーツ、スクリーン、セックス」あくまでも動物本能を刺激して文弱の野蛮社会を新時代の文化文明であるという潮流をつくった。そしてジャーナリズム新聞雑誌とテレビを謳歌し鳴物入りで大宣伝している。殊にテレビは芸能人とスポーツマンの独壇場となっている。このため全国民は白痴化し本能的動物、人間獣とならざるを得ない。これが戦後の日本である。日本再建を慮る者は近代思想を改めなければならない。
戦後の日本人は戦前戦中軍国主義軍閥政治の専制体制を憎むのあまりこれに反動し「平和福祉快楽」を旗印として最高至上の理想とみなし、心身これに捉われている。また政府政党と議会は日本弱体化の意図のもとに作られた占領基本法を憲法と看做し、これに屈従し、破廉恥行為の謝罪と媚態、阿附迎合に明け暮れている。アメリカは占領当初日本を憎悪するのあまり「復讐と懲罰」を企て、民族の解体と国家の崩壊策を取った。それが「三R五D三S]政策である。国家民族を滅ぼすのに武力は要らない。徹底的に人権を主張させ国権を無視すればよい。
恐るべき占領政策
3R
復讐(リヴェンジ)Revenge
改組(リフォーム)Reform
復活(リヴァイヴァル)Revival
5D
武装解除(デスアーマメント)Disarmament
軍国主義排除(デミリタライゼーション)Demilitarization
工業生産力破壊(デシンダストリアライゼーション)Disindustrialaization
中心勢力解体(デセントライゼイション)Decentralization
民主主義化(デモクラタイゼイション)Democratization
3S
性の解放(セックス)Sex
映画・テレビ・演劇(スクリーン)Screen
運動競技(スポーツ)Sports
占領政策の最大の眼目
一、軍国主義日本の基礎である日本精神(民族固有の神道)を崩壊させる。
(43 43' 23)
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