いしずえ

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第五章 近代思想

 十六世紀

 ルネサンスに始まる。宗教改革を端緒としてルネサンス運動が起った。ルネサンス運動は八世紀から十二世紀に至る長い準備期間を経て十三世紀以降その文明形成に入った。十四世紀から十六世紀に至る思想で特に注目すべきものは二つある。一つはイタリアに発したミランドラーの人間中心(ルネサンスヒューマニズム)運動と、もう一つはドイツに起こったルーテルの神中心主義(出来る限り人間の自由)の宗教改革運動である。やがてこの二つは燎原の火の如く全欧に燃えあがった。
 ルネサンス運動とは、古代ギリシャ・ローマの教養人が、如何に生活したかを復活しようとするところから始まり、やがて、あらゆる人間の能力を開発した人間万能を理想的人間像とする運動である。レオナルド・ダ・ビンチは、その典型的具現者であると謂えよう。ミランドラーは人間中心主義を成り立て、神を人間生存の手段として取入れた。これが近代文明の本流となったのである。これに比し宗教改革運動は、現カトリック教会を超え、本来のキリスト教の信仰を取戻そうとする運動であった。当時のカトリック教会は、地上における權力体制として世俗化されており、免罪符を発行するなど本来のキリスト教から逸脱したものであった。これに抗議抵抗(プロテスト)したのがドイツのルッターである。ルッターの思想は神中心主義であるが人間は可能的無限に自由でなければならないというものであった。このルッターのプロテスタンティズム運動を受けてカルヴァンはスイスで教会の組織・制度・法規・儀式・慣習の改革を試みた。彼は、神の救いは、神父僧侶に関わりなく、どのような世俗の人間もすべて神のお思召しである。人はその与えられた職業に勵むことによって得た利得は神からの贈り物である。人が神の救いに選ばれているか否かは、自己の職業に精出し誠実に努め自証する以外にない。彼は禁欲的な自立的倫理の厳しさを体現し人間像を生み出したのであった。これが十六世紀後半にオランダに齎され、カトリック教国スペインの絶対主義権力に反抗してオランダの独立を勝ち取った精神的原動力となった。またイギリスに導入されてピュアリタニズムとなり、十七世紀市民革命(清教徒)の精神的起動となったのであった。またイギリスに導入されてピュアリタニズムとなり、十七世紀市民革命(清教徒)の精神的起動となったのであった。

   (43 43' 23)