いしずえ

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人類統合の覚え書

 近代文明は「人間尊重と合理主義と民主主義」で発展し繁栄して今日に至ったが、この三つの思潮が行詰り今や地球は破壊され人間性(倫理道徳)は崩壊し、滅亡に瀕している。その理由は、人間尊重が行過ぎて自己尊重に変じエゴイズムに変り、生命軽視となって殺人排他の狂流を生み、合理主義は科学機械技術からなる物質文明を成り立てたが、不合理な神と人間と自然を見失ってやがてデカタンスな人間をつくり瀕死(魂)の人間(人間獣)をつくりあげた。機械と唯物主義はあらゆる有機的生命作用を破壊し、合理主義と理性は、神秘を暴露し、一切の尊厳性に傷付け、感性と感激と信仰を拒み、精神の弛緩と倦怠を生んだ。人間の本来性は生命にむすばれた「我知欲」と本能のはたらきに見出されるものであるが、合理主義は、人間をこの具体的な面から引離して科学と機械と技術を成り立てた。これは何等生命作用及び人道と関係はない。この科学機械技術が人間に代って人間を支配することになったのである。それ故人間性や人格や生命は否定され、人間は唯、科学機械の手段となっているのである。人間は唯物主義の基礎の上に趺坐をかき霊魂(倫理道徳)を失った人間獣となって利害爭奪に荒れ狂っているのである。また民主主義は、民主主義の本来性を発揮することをやめ「我知欲」に奔弄され倫理道徳を見捨て衆愚政治、愚民政治に堕し、万人が万人専制者となり、万人が万人を支配し、万人が万人を拘束する劣悪な体制を成りたて而も現代人はこれが最高政治であると錯覚しているのである。近代西洋文明の行詰りは、文明を支え発展して来たこの人間尊重、合理主義、民主主義の行詰りによってもたらされたのである。

 この行詰りを打破し、人類の理想を遂行し実現するものは現存世界五大文化(西洋ヒューマニズム西アジアユダヤ教キリスト教マホメット教・印度の仏教・ヒンズー教・中国の儒教道教、日本の神道)の中では我が国神道の外、悉く既存既知のものであって期待は出来ないが、独り神道のみ未知未開である。神道は、世界大帝國(ペルシャギリシャ、ローマ、中国、印度、サラセン、蒙古)の如き武力権力財力等の「力」ではなく、世界三大宗教(仏教、キリスト教マホメット教)の如き教義信仰の神仏の「力」でもない、宇宙統合の理法、中心を成り立て求心力と遠心力の「産霊」の作用による新陳代謝作用の人間的行為である。約言すれば「天皇を中心とする中心帰一の求心力と天皇の御意を発動する遠心力・生命作用代謝活動による「万邦をしてその処を得せしめ、兆民をしてその堵に安ぜしめる」原理である。太陽の如き光と熱を普く光被し人類世界を統合する理法を理念思想文化とするものである。この宇宙を構成する理法の人間的行為化が日本神道である。

   (43 43' 23)

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人類思想の歴史と未来