いしずえ

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ギリシャ思想

 神話的世界観が思想・哲学として形成されてゆくためには、合理的思考法が必要である。しかし人間の生活は多くの非合理性を含み、非合理的な諸条件の中で営まれるものであって、合理的思考法は、非合理的理法を明らかにし、それを排除し、押し退けるのでなく、それを補い救い上げるのである。人知の歴史は、非合理性に対する合理性の戦であると言うよりは、非合理性のうちにおける理法を、合理性が補い救いあげてより正しい思考法を作り上げる歴史である。この合理性と不合理性との関係は知性(理性)と生命(本能)との関係である。知性(理性)と生命(本能)との関係は、管理と生産の関係である。管理者は生産大衆の生活を正しく管理することに於いて権力支配者たりうるのであって管理能力を失えば権力支配者は権力を失ってしまう。支配者は権力だけでは民衆の支持を失い、国民の生産力を破壊し、革新勢力によって打倒されることになる。

 国民共同体を正しく管理する原理は、公正なる合理的正義と生命的愛情とがなければ国民共同体を正しく管理することはできない。

 支配と被支配の関係は、力の対立関係である。こうした対立関係の進行のなかで、管理と生産との関係が進行しているのである。しかし生命の生産的創造力は非合理的なものであって、知性の指導がなければ忽ち本能的展開を始める。調和のある共同生活は知性の作用を必要とする。知性もまた生命的作用の感性(愛情)を欠くならば、管理は動脈硬化に陥り行詰ってしまうものである。管理は常に生命的創造力を基本とすることに於いて成立するものである。

 支配権力が崩壊するのは、外的または内的圧力によって奪われる以前に既にその支配権力は管理能力を失い、内部的に崩壊しているというのが通例である。

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人類思想の歴史と未来