いしずえ

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(ヘ)事上磨錬

 門下生、陸澄が小児危篤の家書を得て、憂悶に堪えないで居る時に、陽明之を見て「此の時こそ正に工夫を用ふべきである。若し此の時放過するならば、平時の講学は何の為にしているのであるか、人は正に此等の時に在って磨錬する事を要する」と教えた。又、同じく陸澄が「静かな時には心の働きも良いと思いますが、何か問題に出会いますと同じようには参りません。何故でしょうか?」先生曰く「それは唯静養を知って、己に打ち克つ修行を行わないからである。丁度温室の花と同じ事で、そのような状態で事件に臨んだなら、外力に圧倒されてしまうであろう。人間は色々な事件と取り組んで自己を磨かねばならぬ、そうすれば自然に確立して、静時にも安定するし、動中にも安定するであろう」…と。

 謂ゆる「場数を踏め」という言葉があるが、色んな局面を経て意志が強固になり、少々の苦難ではへこたれない精神が培われる、という事か。又西郷南洲翁は、「幾度か辛酸を経て志はじめて固し」と言っているが、人間は甘い辛いを舐めて、はじめて魅力ある人物に育って行く。

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