２２年間にわたって１０％以上の軍拡を続けてきた中国の脅威がいよいよ現実のものとなりつつある。４月には沖縄と宮古島のあいだを抜けて、１０隻の中国艦隊が太平洋に向かい、沖ノ鳥島周辺で演習を行った。５月には日本の排他的経済水域内で調査中の日本船が、こともあろうに中国船に追尾され、その海域から追い払われるという前代未聞の事件も起こった。
これに対して政府は岡田外相が遺憾の意を表明しただけで、鳩山首相はニューヨークの核軍縮サミットで胡首席に会っていながら一言もなかった。逆に中国外相は「日本の監視が過剰だ」と言い、中国の新聞は「日本は中国海軍の動きに慣れるべきだ」と書いた。中韓北朝鮮にはまったく弱腰で、しかも日米関係がほころびつつある民主党政権の足元を見た倣慢な態度である。
中国はネパールの王室内紛に付け込んで、王政を倒し、毛沢東派の共産主義者がこの国の政権を握った。キルギスでは親米派の大統領が亡命に追い込まれた。ミャンマーはすでに中国の衛星国となり、インド洋における中国海岸の活動拠点を提供している。フィリピンも長年華僑が政権に食い込み、米軍基地を撤廃してしまった。
平成22年7月1日 〝いしずえ〟自立か衰亡か、分け目の時より
