いしずえ

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底抜けの腐敗構造を正す道

 平成に入ってからの日本社会の退廃と腐敗は、昭和時代までのそれと比べて、底が抜けてしまったような不気味さがある。大蔵省の接待汚職防衛庁の背任事件、厚生省の薬害エイズ事件などの官界の不祥事が続き、金融関連会社の総会屋事件、住専問題、数々の不正融資をはじめとする民間企業の腐敗もとめどがない。それらの根底に、官僚と企業に依存する政界の構造的な汚職・腐敗体質があることは、言うまでもなく国民誰もが知っている。この十年に取り沙汰された政治家がらみの不正事件は十指に余る。

 国民の信託によって正統性を得ているはずの政治権力が、なぜ政治浄化が繰り返し叫ばれながら企業と癒着し腐敗するのか。かつて昭和の軍部が政治決定権を奪取するに至ったもっとも大きな原因は、政党の腐敗であった。相次ぐ政界財界の不祥事に国民は選挙によって選ばれた政党に信頼感を失い、政党は個別利益の代理人にすぎないと失望して、国家全体の立場に立つものとして軍の政治関与を望んだのである。

 今日の政・官・財の腐敗も根本的な構造において、その時代と少しの違いもない。腐敗の根元は、本来は国民の政治家への信託行為であるべき選挙にある。選挙に金がかかり過ぎることが、無理な政治資金づくりを生み、汚職退廃の温床となる。その病巣に手をつけぬままの選挙制度の変更と政治資金規制法は、結局、金の流れをより隠密化したにすぎなかった。

 選挙をあるべき形に正す方法は、国民を組織化し、政治教育の場を設け、伝統を保守しつつ革新する政党の基盤とすることである。この組織が立候補者を推挽することによって、選挙に余分な資金は不必要となり、国政選挙において五割前後にのぼる棄権者(政党不信者)も減少する。この改革をまって初めて、国家的見識をもつ政治家が選挙を恐れることなく政治活動を行うことができる。我々が現在進めようとしている国民運動は将にそのためのものに外ならない。

 平成11年2月1日発行  次代 國乃礎より

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