いしずえ

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「第二の敗戦」の本質

 バブル経済の崩壊後、第二の敗戦という言葉がしばしば聞かれるようになった。その多くは、アメリカ経済が好調である一方、戦後最悪と言われる不景気や金融不安が続く日本の現状を示すものとして、揶揄的に使われているようである。だが、日本の危機の本質は経済問題そのものにあるのではない。独立国家としての戦略を持たぬ政治と、それに疑いを覚えず無感覚な国民心理にこそある。

 アメリカの占領政策の目的は、日本を再びアメリカの脅威とせず、アメリカの保護管理の下に置くことであった。国家の主権を否定する日本国憲法日米安保条約がそのための監視塔であり、獄壁である。日本はアメリカの世界戦略のもと、ソ連封じ込めの橋頭堡として軍事的・経済的保護を受け、〝アメリカの工業地帯〟として高度経済成長に没頭した。しかしソ連の崩壊後、世界第二の経済大国に膨張した日本に対して、アメリカは管理支配戦略の組み替えを行いつつある。

 識者は平成大不況の背後に、アメリカの日本に対する金融戦略があることを指摘している。為替操作によって何百兆円のジャパン・マネーがアメリカへ流れ、それがアメリカの好景気を支えていると主張する論者は少なくない。

 1991年以後、唯一の超大国となったアメリカは、アメリカが世界を指導、管理統率し、アメリカの正義を普遍的正義とせんとする覇権主義の方向をいっそうはっきりと打ち出している。そうした世界戦略の中で、かれらにとって望ましい日本の位置付けはアメリカの経済と軍事を下支えしつつ、その意向に添って動く属国である。現に権威ある国際問題誌である『フォーリン・アフェアーズ』において、ブレジンスキーは「日本はアメリカの保護国である」と2年前にはっきりと書いている。

 日本の危機は、日本の政治が憲法と安保条約の桎梏に縛られ続け、新たなアメリカの世界戦略に組み込まれている現状に対して、まったく無自覚であるところにある。のみならず伝統と歴史を否定し、国家民族の背骨を失った戦後50余年は、政・官・財の腐敗と社会の解体を引き起こした。しかもその真の原因を問おうとする声は少ない。第二の敗戦の本質はここにある。

 平成11年2月1日発行  次代 國乃礎より

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