いしずえ

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安岡正篤(著) 『禅と陽明学』上巻より

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真実ならざるものを、真実なるものゝ如く錯覚する、その虚(むな)しきもの、仮の存在にすぎぬものを虚仮(こけ)という

我々には色々の心理作用、色々の感覚、感情があり、そういうものによって、真実ならざるものを、真実なるものゝ如く錯覚する。その虚しきもの、仮の存在に過ぎぬものを虚仮という。こけという日本語はここから来たんですね。「うそこけ」などという。虚しき者、仮のもの、真実でない永久的なものを、真実なるもの、永久的なものゝ如く錯覚するものが虚仮である。

この虚仮を覚まさなければならない。金あるいは地位、名誉といったものに憧れて、人生はこれだなんて、考えて金と心中するような者がよくあります。株が下がったら精神に異常を来たしたなんていうのは、虚仮の甚だしいもので、株だの金だのというものは、使ってしまえばなくなるものであり、あてにならない。実に虚仮なものである。地位にしてもそうだ。地位を得て無性に喜び、地位を失って無性にしょげてしまうなどというのは実に虚仮だ。こんなものはいつどうなるか判らない。自分というものから一切を失った時に何が残るか、それが本当の自分である。