いしずえ

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安岡正篤(著) 『老荘思想』より

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政治的地位などは、已(や)むを得ず就くべきもので、みづから、求めて、就くべきものではない

老荘的にいえば、すべては自然でなければならぬ。個人も家も国も自然的に発達しなければならぬ。これ我侭(わがまま)勝手に作為しようなどとはとんでもない間違った愚かなことである。したがってそもそも政治しよう、どうすれば世の中を巧く治めることができるかなどと考えることからして虫のいい話である。己れのことを棚へ上げて置いて、人を治めようなどとはとんだおせっかいで、ましてそれをごまかして、己れが私心私欲を満足させようなどとは甚だしい罪悪である。

政治的地位などは已(や)むを得ず就くべきもので、みづから求めて就くべきものではない。道の真を得るということが根本で、それで身を修めて、そのあまりで国家を為(おさ)め、その糟粕(かす)で天下を治めるのである。本当に道を体認せず、或いは道の本体について疑惑や憂悶(ゆうもん)を持ちながら国家を治めるのは誤りである。