いしずえ

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第四章 中世の思想

 中世の儒教

 後漢に仏教が伝来し老壮の思想は晋の清談を生み、別に道教が生まれ、いわゆる六朝には道仏の二教の隆盛と抗争が著しかった。この道学が新儒教として立ちあがった。道学は道教仏教を排斥し、天地万物の本源を大極といゝ、それには動と静二つの活動力があり、そこから陰陽の二気が生まれ、分れて木火土金水の五行となる。人間はこの五行の精の集りであり、仁義礼智信の五性を持っている。五性が外物と接すると善悪の差を生ずる。聖人はそのために中正仁義を立てて正善に復せしめるのだ。
 中世儒教の枠は朱子学陽明学である。これは仏教の影響を受けて儒仏を融合したものである。朱子は二程子の思想を受け、易本義・詩書集註は彼の真髄を表している。また四書の制定は彼の名を不朽ならしめていると同時に、これより以後儒学を学ぶもの四書集註を必ず研究することゝなった。理気二元論を著わし、理と気とは二物である。理は形而上の道で生物の本であり、気は形而下の器で生物の具であるとして人の生まるゝや必ずこの理を受けてその後に性を有し、必ずこの気を受けてその後に形を有するというのである。心を人心と道心にわけ、それを人欲と天理に区分しており、そこに復性復初の説を立てゝいる。学者は居敬と窮理の二事のみである。朱子は禅的な修行とたゆまざる真理の追究を力説した。彼の格物致知の説は後世儒学の宿題となった。彼は経験と学問と敬を尊び実践を重んじた。王陽明は、朱子に対立し、直覚・徳性・静を尊んだ陸象山に師事し、知行合一の説を打立てた。彼は独自な実践主義を成り立てたのである。知行合一致良知の説は斯学の中心である。彼は知を軽んじ、行を重んじたところに特色があり、その行の工夫は頗る禅的であって心学と称せられた。格物到知とは、事物の理を窮め我が知を致し極ること。致良知とは、物事の道理を通暁し、良知をして欠陥なからしめること。

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