今年に入ってから、インターネットを介した政治運動には新しい動きが見られるようになった。ネット上の動きが現実の運動とつながりはじめたことだ。その契機となったのは４月に放送されたNHK総合テレビの「NHKスペシャル～ジャパンデビュー」という番組である。
幕末に横浜を開港して今年が１５０年ということで、近代日本の歩みをドキュメンタリーで描くシリーズの初回だったが、テーマは「日本の台湾統治」だった。日清戦争に勝利して台湾を属領とした明治の日本がこの最初の「植民地」をいかに統治したか。近代日本を語る上で目の付け所としてはわるくないが、番組の内容はひどいものだった。
偏向しているというより、全編これ歪曲と捏造というほかはない代物である。紙幅がないので詳しくは雑誌「正論」や「WILL」に黄文雄氏などが寄せている批判をお読みいただきたいが、要するに日本の統治を全面的に悪いものだった、台湾に対する収奪と差別だったと決めつけるものだ。
番組中でNHKからインタビューを受けている台湾人諸氏が発言を歪曲されたと怒っているのが、何よりの証拠であろう。台湾国内でも憤慨の声が上がっている。NHKの偏向は前々から指摘されてきたが、今回の番組はまったく中国共産党の主張に沿ったもので、日本と台湾の間に亀裂を入れる意図があからさまだった。NHKが中国政府に支配されているという批判が正しいことが裏付けられたと言える。
平成21年7月1日 〝いしずえ〟ネット運動の進展開より
