いしずえ

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『呻吟語を読む』より

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濶大(かつだい)の誠。よく全体を把握して、決断する人物が出てこないと、世の中は乱れるばかりである

学問に志すもの、人生を考えるものに大事なものは濶大(かつだい)の誠。小さいことに拘泥(こうでい)しないで大まかに論断・決断する識であります。精細な識を持ちながら部分部分や枝葉末節にとらえられないで、よく全体を把握して決断する。全体がわからなくては何にもならないわけです。

何事によらず紛々(ふんぶん)として帰するところを知らぬ、この時局に大きく網(あみ)を打つことのできる濶大の識を持った人物が出てこないと、世の中は乱れるばかりであります。

ことに政治には濶大(かつだい)の識が要求される。それは政治というものは全体を操縦する機能であるからです。これを学問的に全機性という。部分部分の機能ではなくて全体としての機能であるという意味です。今日の日本の政界は部分的にはいろいろ動きがあるけれども、どうも全機的な力が弱い。要するに政治に有力な指導性がなくなっておることが大きな原因である。