いしずえ

『陽明学勉強会』 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで!!

『天地友情』より

イメージ 1

民族の春である、青年学生の世界。何と殺風景なことか

天台宗権僧正(ごんのそうじょう)という法位をもつただ一人の外国人であるジャック・ブリンクリー氏が最近の東京人、とくに青年学生を評して、江戸っ子も変った。学生の変わり方はとくにひどい。戦前の学生は地味で、探究心が強く、伝統の良さを正しく活かそうと努力していた。今の学生は伝統もなければ、特色もない。落着きもなければ、礼儀も知らない。ことに正しい日本語を知らない、英語を習う前に日本語を習いなさいといっている。

恥ずかしながらその通りである。民族の春である青年学生の世界に、この頃は何という殺風景なものが流行することか。しかしこれは成人の世界も同じことで、真に穢(え)国・悪国ということを感ずる。西田幾多郎博士晩年の歌に、「しみじみとこの人世を 厭(いと)ひけりけふこのごろの 冬の日のごと」とあるが、今生きていたならば、なんと思うことであろうか。この精神的頽廃を一掃して、国民ことに青年子弟を奮起さすことができねば、日本は滅亡のほかあるまい。