日本人は外来の文化思想を理解し、且つそれを表現する能力においては、他国の何者も追随を許さぬほどすぐれたものを持っているが、自国の思想の神道については全く自覚もなければ表現も実に拙劣である。
日本人は好んで仏教教義の深遠さを説き儒教の浸透性、西洋科学の卓越性を讃えるが、神道の方が仏教よりもはるかに優れた精神的原理を有し、儒教よりも内面的見解においてはるかに深遠であり、又西洋文明よりも一層物質的進歩と精神的理想主義とを調和せしめる力を持っていることに気づいていない。
もし日本人が滞在意識的直感をもって、而も同時に自覚的表現的分析力を発揮せしめ得るならば、日本文化は未だかつて多民族の企て及ばざりし高所に達するであろう。