いしずえ

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16、オロゴメ

 藩政時代「馬追(うんまえ)」は年中行事の一つで、最も男性的で勇壯を極めたもので、笠(おろ)山に牧場を作り、平時は「牧司」数名が警戒に当り、毎年一回四月中「卯の日」に仔馬(二才馬)捕りをし、当日は六郷が大小幾多の旗をひるがえし、郷別に円陣をつくり捕手達は大旗小旗を打振り馬をかり立て、かねて設けた「笠」に追い込んで捕えたもので、予定数だけ捕獲したら終りとされ捕えた二才馬は藩庁に送り軍馬に育成された。(上東郷郷士資料による)

 垂水では、柊原上之原から大野原一帯が島津氏の牧場で、野生馬を市木や馬込に追い込んで捕まえていた。これらの行事が子供達に引継がれてきたものが「オロゴメ」の行事である。

「オロゴメ」は旧暦五月五日(現在は新暦月遅れの六月五日)早朝行われる。前日までに海岸に穴を掘り準備しておく。穴は縦横七尺(約二メートル)深さ五尺(約一メートル)の四角形で入口三尺(約一メートル)である。

 当日は午前三時頃から「たいまつ」をともし、ホラ貝を吹いて山に登り一番頂上に陣旗を立てる。陣旗には「子馬ひき出す馬合戦」と書かれ「オヤガシラ」(親馬の意で小学六年生)所有のものである。

 やがて山を下り、海岸に掘った穴のところにいく。「オヤガシラ」は海岸に掘った穴の中に「コガシラ」(子馬の意で小学生以下)を追い込み、外側から耳と足をもって入口から引き出すのである。一方「コガシラ」は白い六尺フンドシ(今はパンツ)一枚の姿で「オヤガシラ」に対して暴れまわるのである。「オヤガシラ」が「コガシラ」を全員穴から引出したとき勝負は終る。

 昔は「オロゴメ」終了後、水之上の子供達とよく竹合戦をしていたらしい。

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