いしずえ

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侵略と征服

 都市国家が成立し文明が興るにつれて、その周辺の半農半枚の民、或いは遊牧民は都市文明に引き寄せられ、その文明を採り入れる。やがて軍事的侵略者となって都市に襲い掛かり征服する。
鉄器の採用と共に、中央集権的大領土国家が成立してくると、人類は常に侵略と戦闘をくり返し、争奪と興亡の歴史を創った。

 農耕民は栽培植物の生長と家畜の繁殖に頼り、その生死の神秘力への想念は神話的世界観や宗教祭礼となって現われ、母なる大地、地母神の観念と母系的社会組織を成り立てた。

 これに対し、遊牧民は農耕民のように狭い土地に縛られることなく、広々とした草原や高原で家畜を追い牧草を求め夏と冬とにはその居住地を換え、常に広大な天は頭上にある。天上にある父なる神への信仰が、父系的父権社会組織をつくりあげた。この遊牧民はやがて戦士となり侵略者となり征服者となった。彼等は人為的であって勝利という目的をめざしてその目的は合理的、現実主義世界観を有するのが常である。印度に侵入した「リグ・ヴェーダ」神話や、北方からギリシャに侵入したギリシャ人の神話にはこのような現世主義的世界観が反映している。

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人類思想の歴史と未来