いしずえ

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日本歴史上四度目の危機

 日本歴史には幾度かの転換期、危機があったが、大きく見ればそれは三度あった。ひとつは古代貴族政が終わり、中世武家の時代が幕開いた平安末期である。このとき、古き時代を打破したのは源頼朝であり、新しき世を整えたのは鎌倉幕府第三代の執権、北条泰時であった。泰時は武家法である御成敗式目を発し、時代の要請に応じられなくなった律令の不備を補った。

 次は中世武家社会が変質し、近世の扉が開かれた室町末期。このときの革新者は織田信長であり、時代の大成者は徳川家康だった。西洋史における封建制から絶対王制への変化がこれにほぼ対応する。

 三度めは近世から近代へと大きく時代が転換した幕末。旧体制を打ち倒す功をもっとも成したのは西郷隆盛であり、新時代の基礎を築いたのは大久保利通である。西郷が幕府を倒し、幕藩体制を破り、大久保は十年で近代日本を導く太政官体制を固めた。

 だが二度めまでの転換期が国内に限られた問題だったに比して、三度めの危機は西洋文明との衝突を避けがたく伴っていた。そこに日本精神の伝統が欧化によって廃れることを危惧した西郷と、富国強兵には手段を選ばず欧化やむなしとする大久保の対立が生まれた。この大難問は現在もなお、我々の前に突き付けられている。

 平成22年1月1日  〝いしずえ〟出でよ、救国の志士より

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