いしずえ

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『童心殘筆』より

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山水養性記



儈。東京等に住んでゐると餘計自然が戀しいだろうな。わしなどはふだん別に何とも思ってゐないが、町へ出て泊ると急に山が戀しくなるよ。

萱の叢を掻きわけて漸くに山間の空地に出た。一條の渓流が音もなく岩石の間を走って居る。流石に風がひやひやする。右手の樹立の彼方に鞺々と音するのは儈の所謂鯉仙の瀧である。

儈。そら来た。見なさい。