民族の歴史、芸術、風俗、習慣をしっかり保存してこそ、伝統ある日本といえる
フランスの新聞「ルモンド」の特派員で極東総局長ロベール・ギラン（一九九九年死去）という人が東京で講演をしました。彼は、昨今の公害・風俗・思想の動向等を見ておると、どうも日本は太平洋の島国ではあるが、この島から日本というものがなくなるのではないかという気がする。島は残るが、島の上の歴史的日本・文化的日本はなくなってしまうのではないか。フランスなどは、民族の歴史・芸術・風俗・習慣というものをどのようにして保存しようかと苦心している。日本に来て、情け容赦なく家でも、木でも、石でもこわしていく光景を見ていると、ある意味においてはきわめて積極的進歩的であるが、これは結局日本が日本でなくなることではないか。大変残念な、そして私たち外国人には理解ができない問題であると申しております。
長大息すべき大問題でありますが、意外に日本人は無頓着であります。
