『暁鐘』より - いしずえ

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芸は身を助けるとか申しますが、我々が本当に身を打込んで何か特殊の能力を作るということは、我々の人間としての権威、我々の生活上の計り難い良い補いになる。そういう意味で絶えず我々が何か他人に真似のできない或いは劣らない、一つの権威を成すような特殊の能力を持つようにしなければならない。

知識でも技術でも何でもよろしい。或いはそういう知識や技術がなければ風格でもよろしい。かりに眼に一丁字がなくとも本当に立派な人格を築き上げれば、それだけですでに一つの技術、芸術品ですから決して人は捨てておきません。