いしずえ

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安岡正篤(著) 『人間維新』より

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朝の習字、何とも言えない味がある

朝起きて名言を読み且(か)つ味わう事もよろしい。或は習字をする。朝の習字と云うものはいいものだ。抑々手習いというものは特に朝、何とも言えない味がある。味があるばかりでなく意義がある。

誰でも感ずる事は、朝起きて、きれいな水を硯(すずり)に落としてする時、願わくば少し良い硯、少し良い筆を用意して、きれいな水を数滴硯に落として、静かに墨をすると、どういうものもか煩悩が静まる。

腹が立っておったというような時でも、不思議にその怒り、腹立ちがすっと消える。つまらない妄想も、墨をすってプーンと隅の香りをかぐと、いかなる鎮静剤よりもよく効く。そういう趣味を心得て、名句を習字するのも一つの方法であろう。人間、そういう生活を持つという事は、壷中天(こちゅうてん)にもなる。