いしずえ

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『童心殘筆』より

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山水養性記



こんもり茂った杉並木の間を幾十階かの石段が急勾配を為して、其の上に門が見える。もう日は大分傾いて麓の方がはや暮色を帯びかけて居る。

和尚は庫裡へ廻った。私は獨り古いがっしりした玄關に佇んでゐると、ちょかちょかと一人の怜悧そうな眼のくりくりした小儈が出て来た。

小。お上がり。

學。や、御免。