山水養性記 一 こんもり茂った杉並木の間を幾十階かの石段が急勾配を為して、其の上に門が見える。もう日は大分傾いて麓の方がはや暮色を帯びかけて居る。 和尚は庫裡へ廻った。私は獨り古いがっしりした玄關に佇んでゐると、ちょかちょかと一人の怜悧そうな…
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