いしずえ

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『童心殘筆』より

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雲水



花ならば白菊の花蘭の花
 
 秩父重忠ものゝふなるかも

ものゝふの情にうてや銅拍子

 静は舞ふよあはれ重忠

佐殿の為とし言へば家も身も

 忘れて逸る殿原ゆかしも

些の君が情けの言の葉に

 若殿原は涙するなり

如何ならむ秩父河津の殿原と

 裾野の秋に駒を馳せなば

伊豆相模その野に山に殿原は

 弦音たかく鹿を逐ふなり

墨染の衣の袖ゆ銀の猫

 子等に興へて西行はゆく

子等は皆銀の猫をばまさぐりて

 眼をくりくりと西行を見る

そのかみは音にきこえし弓とりと

 聞くに尊さいや勝るかも