いしずえ

『陽明学勉強会』 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで!!

『童心殘筆』より

イメージ 1

雲水



この宇宙人生を直視したい。驚きたいと言つた獨歩の心は私にはよく分る。分つたところで何だ。私は坐禪を行じた。調息を修した。それ等の何物も自分には效が無い様に思へてならなかつた。私は逐はれる様に何時も煩惱の身に還つた。

憶念するに、我れ昔曾て林中に宴坐となさざるなり。夫れ宴坐たる、三界に於て身意を現せず。是を宴坐と爲す。滅定を起たずして諸の威儀を現ず。是を宴坐と爲す。道法を捨てずして凡夫の事を現ず。是を宴坐となす。心内に住せず。亦外に在らず。是を宴坐となす。

諸見に於て動ぜずして、三十七道品を修行す。是を宴坐となす。煩惱を斷ぜずして涅槃に入る。是を宴坐となす。若し能く是の如く坐すれば佛の印可する所なりと。時に我れ、世尊よ、是の語を聞いて、黙然として止み、報を加ふる能はざりき。