いしずえ

『陽明学勉強会』 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで!!

『この国を思う』より

イメージ 1

貧者の一燈、貧士あえて人をすくう、わずかに是れ性天中の恵沢

最も本然の美しい恵みの徳の現れは金持ちが人を救う事ではない。貧士が人を救ってこそである。血を絞(しぼ)るような金や努力を人の為にささげるということは本当に有難いことである。いわゆる「貧者(ひんじゃ)の一燈(いっとう)」である。

人を救うことばかりではない。すべて人の真実は逆境の中にある。順境、富貴、功名の中にはない。例えば親子の道というようなことでも、富貴の家には見られない。子が親を思わんことはないが、親が金殿玉楼(きんでんぎょくろう)の中に住み、出ずるには乗物があり、左右に多くの人々がぺこぺこしておるような家では、親に尽そうと思う倅(せがれ)はない。

そこに行くと親が朝早くから夜遅くまで働いて、ろくろく晩酌も飲み兼ねるのを見ると、倅は及ばずながら親父に尽したいという気が起こる。この気持ちが一番人間らしい気持ちである。それが金持ちでは起こらない。