いしずえ

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『天地友情』より

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忘年の交などは、今こそ盛んにならねばならぬことである

現代、貴い意味での友誼(ゆうぎ)が廃(すた)れてきていることは、人間のために、容易ならぬ問題である。忘年の友などは今日こそ昔よりも盛んにならねばならぬことである。この頃文明のおかげで、活動年齢は昔より二十年ぐらい延びている。昔の五十は今の七十。今や七十・八十も世に立って一向壮者と異ならない。その半面、世界は厳しい変革の時期となって、大いに青年の活動を期待せねばならぬ。こういう時に当然若くしてすでに立派に人物ができている若者と、老いても一向衰えないでき上がった大人とが、年齢や地位身分を忘れて、人間的に共鳴しあうようなことがなければならないのである。

忘年の交という成語は、漢末の禰衡(でいこう)が二十歳頃、当時すでに五十歳の大家孔融(こうゆう)と深く交わっていたことを『漢書(かんじょ)』に記していることから世に知られたとされている。松下村塾におけるあの若き子弟朋友間の熱烈な道誼がいかに世を動かしたことであろう。