いしずえ

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安岡正篤(著) 『易と人生哲学』より

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内省のない欲望は邪悪、人間の存在や活動は省の一字に帰する

人格では、この陰陽の陰、すなわち成長の原動力、結びの力、これを徳と申します。また分かれて枝葉となり、花実となる陽の力、これを才幹、知能と申します。そしてこの徳性と才幹知能が相まって、ここに人格というものができあがるわけであります。

われわれの欲望というものは、いうまでもなくこれは陽性です。それに対する内省、反省というものは陰であります。欲望がなければ活動がないわけですから、欲望はさかんでなければなりませんが、さかんであればあるほど内省というものが強く要求されます。内省のない欲望は邪欲であります。そして内省という陰の働きは、省の字があらわしておりますように、「省(かえり)みる」という意味と「省(はぶ)く」という意味があります。内省すれば必ずよけいなものを省き、陽の生理を行い陰の結ぶ力を充実いたします。人間の存在や活動は省の一字に帰するともいわれる所以であります。