いしずえ

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『暁鐘』より

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一巻の書物、すぐれた書物を熟読し消化することは大変よい教養となる

我々の生命は生きるようにできておるのですから、必ずしも栄養を取らなくても生きられる、体力がつくのです。物欲を去って山に修行している道者、行者、禅僧、神仙などというものは芋やそば粉を食って立派な体格を作り、堂々と活動している。

学問でもそうでありまして、書物を乱読する、色々の学科を雑駁に修める、いわゆる雑学することは、飲食と同じように、我々の知能、頭脳、人格に非常に悪い。学問も教養も純一でなければならない。消化力を無視して雑食すると、すぐ胃弱、胃酸過多、胃潰瘍を起すように、脳酸過多、思想・人格潰瘍、人格破産などというものになる。本もそういう意味においては、くだらぬものなど読まぬ方がいい。むしろすぐれた一巻の書物を、熟読して消化する方がどれくらい人間としての教養に好いか知れません。近代知識人、文化人の一つの弊害は、余りに欲望、官能を刺激するものが多くて、飲み過ぎ食べすぎる。