いしずえ

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『童心殘筆』より

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山水養性記



儈。一月程前だった。其の小儈がひょこひょこわしの居間へ来てね、古人も案外嘘をいう。一寸来て見ろと言うのさ。わしも少々わけが分らん。何を言うのじゃと言ったら、まあ来て見なされとぐんぐんわしを引っ張る。しかたがないで小儈に引っ張られて寺を出た。すると途中で、老師、莊子の中に帝の懸解ということがある。生は懸で死は解じやとこの間話しとられましたな。ウウフ……と笑いくさる。それに相違無いわ。何がウフウじゃと詰りながら到底此處まで来た。するとね、小儈叉大聲出して、そーら帝の懸じゃと吐いた。なるほどこの枝にぶらりと死人が下って居る。貴様之を見て来たのか、そんなら始めからそう言えと叱ると、死も懸じやウフフとまた笑いくさった。