いしずえ

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『童心殘筆』より

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山水養性記



學。渓流の音は好いな。僕は書斎で読書したり、夜枕につく時、如何かすると淙々たる渓流の響を聞くことがある。去年ふと思い立ってある日河口湖へ出かけた。大月で汽車を下りて、がた馬車に乗って、夕方桂川にさしかゝった時、プーピープーという喇叭の寂しい音、黙して鬣を揮う馬の蹄と共に、岩を嚙んで流るゝ碧流の姿に覚えず感涙を催したことがある。何とも云えない風情だ。勉力して龍庭に萬言を上るも、男子の志や溝壑を忘れずという詩を読んだ時、哲人宰相耶律楚材が愈好きになった。