いしずえ

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『童心殘筆』より

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温泉行

まして相携へて夜店賑やかな上野銀座あたりに、「下駄ころりからり彼奴等の夕涼み」に終るなどは寝覚めの悪い生活であろう。

人間という脊椎動物は社會的だろうが、人間という萬物の靈長は孤往を分とする。

このゆゑに「幽人月づれば每に孤往し」、獨り花源を探って深きを厭はね」などゝ妄想しながら、ふと心づいて車中に憮然と坐した。

その裡に全くのんびりした気になってしまって、携へて来た一册の「陽明先生詩賦」を閑読する。

傳習録や論学書を読むよりどうも詩賦の方に懐かしい陽明の風貌が現れて居る。

何しろ詩は感情の返景である。

其人を活かして表して呉れる。