いしずえ

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『童心殘筆』より

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暁風残月の遊



やがて吹き出でたは此の夜に適しい荒城の月~春高楼の花の宴……始の旬の嫋々たる餘音が流れると、舟中から期せずして一斉に、

廻る盃影さして
千代の松が枝わけ出でし
昔の光いまいづこ
秋陣営の霜の色
鳴き行く雁の數見せて
かざす劍に照りそひし
昔の光いまいづこ
いま荒城の夜半の月
かはらぬ光誰が為ぞ
垣に残るはたゞ葛
松にうたふはたゞ嵐
天上影は變らねど
榮枯は移る世のすがた
うつさんとてか今も猶
あゝ荒城の夜半の月
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