いしずえ

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『禅と陽明学』下巻より

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東洋の学問は、自分自身に真理を体現する、実践するということが生命である

講壇に上ったり著述をしたりして、偉い学説だの理論だのを打ち建てている者は少なくないけれども、その理論だの哲学だのを本人自身がどれだけ体得・体現しているかということになると、その思想、その哲学、その真理とは似ても似つかぬ、まことに俗人と少しも異ならないというよりは、むしろ俗人が顰蹙(ひんしゅく)するような変な人間が少なくない。

これが学者だの、思想かだの、文人だの、芸術家だのといわれる者に共通の情けない弊害ですね。これは、なまじ理論とか教育とか学とかいう、逃げ場というか隠れ場というのか、そういうものがあるから、自分が何か偉い者のように錯覚する。そのためにかえって俗人以下になってしまう。

そういうことを断じて許さんというのが、東洋の学問、東洋の数学である。それだけに一番大事なことは失われたる自己を回復すること、いい加減でないところの自己自身に徹することである。そして自分自身に真理を体現する、実践するということが生命である。しかしこれは易しいようで実に難しいことである。