いしずえ

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『王陽明』より

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格物致知、格物は客観の徹底、致知は主観の徹底である

格物致知という「致知」とは主観の徹底であり、「格物」とは客観の徹底にほかならない。人が主観主義の思想を底の底まで考え抜くか、骨の髄まで生き抜くかしたとき、初めて自己の内に見出すことのできるものが真の客観性というものである。

人間は、天地の生物、あるいは無生物と異なる別個の存在ではない。知や心というものも、超自然的なものから人間に与えられた特別なものでもない。極めて勝(すぐ)れた内容をもつ天地自然のものである。天地自然の創造過程は、水に覆われ、霧に包まれた混沌の世界から、いまだ生命ということのできない無機物の世界を現じ、やがてそこから有機的生命の世界が発展し、ついに人間に至って「考える心」を生じ、天地創造、造化を参賛するようになった。これがすなわち「格物」であります。これこそ宋儒のいわゆる「天地の為に心を立つ」であり、あるいは「天地心を立つと為す」なのであります。