一利を興すは、一害を除くにしかず
日本の大臣や名士などにも教養・抱負・品格のある人物があればと思います。こうした人が出れば、政治が変わってくる。現代の政治家たちはあまりに俗であり、ために世をいかに汚染しているか測り知れない。これは時代の流れのせいでもありますが、とかくこの頃は人間的妙味がなくなってまいりました。耶律楚材(やりつそざい)に『湛然居士集』という書物があります。彼の名言の一に、
一利を興すは一害を除くにしかず
一事を生(ふ)やすは一事を減らすにしかず
一利を興すは一害を除くにしかず
一事を生(ふ)やすは一事を減らすにしかず
日本列島をよくしようと思ったら、今日の害悪がどこにあるかをまず見究めて、それを除くことから始めなければなりません。一事を為す前に一事を減じなければならぬのですが、当今の政治家たちは、それは手柄にならぬから、逆に何か新しく事をなそうとする。それに引き較べてみますと、耶律楚材のこの言葉は実に名言でございます。