いしずえ

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『人間維新』より

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柄(がら)にもない成功、急速度の発展は危険

人間というものは、出世や成功、あるいは利財というようなものでも、食物の腹八分目と同じように、せいぜい八分目くらいに成功しておくのが一番理屈に合っている。柄(がら)にもなく成功するなんていうのは、最もいけないことだ。

文明もそうです。メガロポリス、エキュメノポリスの都市文明、恐るべき公害をほしいままにしながら、市民を惨澹(さんたん)たる破滅に導いておる近代大都市を無反省に、急速にまねをし、野や畑をぶち壊して死の都を作り上げ、大変なスピードで発展してゆく現代文明というものは行き過ぎである。できるだけこれに制約を加えて、恐るべき文明の急速度の蔓延(まんえん)を是正(ぜせい)しないと、民族の恐るべき破滅に突進する、ということはもはや現代のあらゆる先覚者・碩学(せきがく)が肝を冷やしておる事実である。大にしては文明のあり方、小にしては我々の体の持ち方、心の持ち方、すべてそうであります。