トントン拍子は、衰えの始まり
人間というものは、トントン拍子に伸びていった時が、まず衰えの始まり。換言すれば、いい気になって、昔を忘れて、ぼつぼつと忠言を聴かなくなる。その最も堕落の始まりは、美酒嬌娃(きょうあい)<なまめかしい美人>に親しんでその務めを怠ったり、道を聴くことを忘れたりすることだ。わずかばかりの地位名誉財産、わずかばかりの知識技術学問なんどというもので、もういい気持になって、善言に耳を傾けない。真理を追究しない。道を聴かない。一かど自分が出来たつもりでいい気持になる。そうしてつまらない混濁した情欲だけになる。恐ろしいことだ。