いしずえ

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『暁鐘』より

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備ふるを求めず、人に完全を求めてはならないということ

「備ふるを求めず」ということは完全を求めないことです。人に完全を求めない。「そのものの癖(くせ)と疵(きず)とを見て用ふるにあり」。むしろ完全を求めるだけでない、その人間の癖と疵をちゃんと知って用いることが、人を用いるに大事な条件です。

人間というものは誠に微妙にできておりまして、たとえば長所というものと短所というものとが別々にあれば非常に簡単なのです。ところが長所というものは同時に短所なのです。短所は長所なのです。だから昔から角(つの)を矯(た)めて牛を殺すといって、下手に短所を矯(た)めると長所もなくしてしまう。学問、修養するということはどういうことかというと、今のような長所、短所からいうならば、短所をそのまま長所にすることです。人間が堕落することは、せっかくの長所があたら短所になることをいうのです。