いしずえ

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『東洋倫理概論』より

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父母の祭祀を、忽(ゆるがせ)にするような者に何の道徳あり、文化があるであろうか

父母を祭る心は当然祖先の信仰祭祀とならなければならぬ。子孫は父母の道の発展であり、之を子孫より言えば父母の道の継承であるが、その存続継承の最も温い礼儀が祭祀であるから、家庭に於て祭祀は最も温い重要問題である。それはまた知らず識(し)らず其の家庭の子女を、刹那(せつな)主義利己主義唯物主義から救って、人間を敦厚(とんこう)にする。「終を慎み、遠を追えば、民徳厚に帰す」(論語)とは至言(しげん)である。

家庭に於て特に祭祀を重んじ、父母祖先の祭りを絶やさぬことは、東洋倫理の特徴として今後も尊重せねばならぬ。信仰祭祀はかくして自然と父祖(骨肉の親)とに止まらず、更に道の親即ち師友、英傑、哲人の神霊に対して発し、自らに依って此等を礼敬(れいけい)すると同時に、此等に依って益々自らを徹見し礼敬する。