いしずえ

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安岡正篤(著) 『孟子』より

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多くある人の中にも、人ぞ亡き。今日(いま)の日本に何が欠けておるかというと、つまるところ人である

私は無心で、首尾よく10日間の連日連夜の講演やら座談会やらを終えて帰りました。しかしその途端、やれやれと思ったのか、疲労が甚だしく、体の変調を覚えております。病気はやはり気である。心の持ち方だということを、つくづく味あわされたわけであります。

それは人間の体ばかりでなく、国家内外の問題も、突き詰めてみると、結局、心である、つまり人であるということです。今日の日本に何が欠けておるのかというと、資源でもない、経済力でも金融でもない、詰まるところ「人」である。人はどこにでも沢山おるわけですが、まさに「多くある人の中にも人ぞ無き」であります。然るべき所に、あらねばならぬ所に、あるべき人がないということであります。つまり、その地位にある人に心ができておらんということに帰する。心を修めた人が、あるべき場所に座るというよりほかに、何もないといってよかろうと思うのであります。