いしずえ

『陽明学勉強会』 参加希望の方は kuninoishizuehonbu@yahoo.co.jp まで!!

安岡正篤(著) 『易と人生哲学』より

イメージ 1

蘧伯玉(きょはくぎょく)、行年五十にして四十九年の非を知り、六十にして六十化す

淮南子(えなんじ)』という書物に「蘧伯玉行年五十にして四十九年の非を知り、六十にして六十化す」という有名な言葉があります。蘧伯玉というのは、衛(えい)の国の有名な賢者でありまして、五十という人生の終点に到達して、それまでの四十九年が皆いけなかったと悟った、という意味です。これは深刻な話であります。定年を迎えて、これでやめなければならないときに、省みて全部駄目だったと自己を否定しなければならぬということでありますと、たいへんなことです。

ところがこの蘧伯玉については、そのあとに非常にいいことが伝えられております。それは、六十にして六十化す、ということです。すなわち今までの生活が全部駄目だったということを知って、それから自己改造をやり、六十になっても六十になっただけの変化をした、という非常に名高い言葉であります。

宇宙、自然は常に進化してやみません。人間も宇宙、自然の一部分でありますから、その本質は絶えず進化しなければなりません、停滞はゆるされません。