いしずえ

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安岡正篤(著) 『禅と陽明学』下巻より

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運命を宿命にすることなく、立命にもっていくことが大切といえる

人間は初めから自然あるいは遺伝に従ってきまり切った存在で、泣いても笑っても運命はどうにもならぬというような予定的、固定的に考えるのを宿命といいます。運命というときには動いてやまぬということであります。それを生まれたときからきまりきっている、どうにもならぬという考え方が運命の中の宿命観であります。しかしこれでは人間としてせっかく心というものを与えられ、意識し、思考する意義がありません。

そこでさらに進んで、この動いてやまない創造、クリエーション、進化、これを法則に支配されて動きのとれぬという宿命観に陥(おとしい)れずに、この運命の理法を探究して原理を解明し、大自然あるいは、宇宙、神、そして人間の思考や意志に基づいて、自分の存在、自分の生活、自分の仕事というものを創造していくことを立命と申します。同じく運命といいますけれども、大きく分けると宿命観と立命観があるわけであります。