いしずえ

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安岡正篤(著) 『天地有情』より

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人間を善良・純良にするものは、結局は徳・誠・愛・真である

中国人は惨憺(さんたん)たる歴史の中を生きてきただけに、実に老獪狡猾(ろうかいこうかつ)で徹底して利己的である。

こういう有様であるが故に、彼等は何かに安心を得なければならない。

それに触れるとまるで善良そのものである。

すこぶる純情である。

そうして彼等を善良にし、純良にするものは結局徳・誠・愛・真である。

そういう人物や、それを表わす宗教・学問・芸術などである。

そういうものに対する中国人の敬慕の念は、これはまた飢えたるもの々食に対するが如く、渇(かつ)したるものの水を見ると異ならない。

だからこの二つは全然相容れぬもの々ようで、実は同じ幹から生じた枝同志である。

これはしかし徹底していえば、およそ人間というものが、こうしたものではなかろうか。

悪人あるいは無頼漢(ぶらいかん)が案外善良で純情であることが少なくない。

善人が案外軽薄で虚偽に充(み)ちている事も少なくない。

貧苦の生活に思いのほか人間味が豊かで、富貴の生活がむしろ甚だ内容空虚であり、またありやすい事は苦労人なら誰も肯(うなず)けるであろう。

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