いしずえ

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安岡正篤(著) 『東洋倫理概論』より

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出処進退の第一義は、仁を求め、仁に立ち、仁に生きる、ということである

職業を通じて仁を求めることは、一面その職業が複雑なものであるほど、他面自己の学問教養が進むほど、苦しくなってくる。

多くの人の子を教育するとか、百官有司(ゆうし)を統御して天徳を輔弼(ほいつ)してゆかねばならぬというような社会的な職業になれば、事柄が複雑重大で且(か)つ対者が人間であるだけ、如何に我々が誠を竭(つく)しても、中々事が志の如くにはゆかぬ。

才の及ばぬ歎(なげ)きもあろう。

徳の足らぬ憂(うれ)いもあろう。

命の非なる悲もあろう。

それは我が学問教養の進むほど、また痛切に意識される。

無学愚劣であれば、ただ衣食の営みに忙しくて、仁を求める苦を解すまい。

まことに人生文字を織るは憂患の始りである。

然しそこに人間の尊さが輝く。

出処進退とはつまりかかる場合如何に仁に生きるかという問題に他ならない。

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