いしずえ

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安岡正篤(著) 『東洋倫理概論』より

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あまりにも資本主義経済の発展、物質文明の発展は、人間に心の余裕をなくさせ、堕落へと転回させた

資本主義経済の勃興は謬(あやま)って貧富の懸隔(けんかく)を著しくし、少数の富豪階級を無反省な奢侈逸楽(しゃしいつらく)に耽(ふけ)らせ、大多数の民衆を不自然な機械的労働と貧窮とに駆(か)り、他面いやが上にも人間の官能的生活を快美にせねば止まぬ所謂文明は生活標準を急激に高めて、段々一般に簡易生活を不可能にし、したがって生活の窮乏不満は深刻になるばかり、階級闘争が盛んになると共に、飽くことを知らぬ肉欲的享楽の追求と圧倒的な感覚的刺戟と心身の過労困憊(こんぱい)とは、人間をどんどん唯物的に堕落させて、精神的趣味や品威を解する心の余裕を奪い尽くし、大丈夫世に生きて衣食の計より外に何も無いような有線になって居る、そこで時有ってか何人の胸にも、一体我々は何の為に生きて居るのか、生きるということはどういうことを云うのであるか、というような疑惑歎息が生ずる。

此等の人々に取って、最早職業は社会の進運を亮(たす)けるという意義を亡くして、依って以て衣食する手段にしか過ぎなくなる。

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