人類はこれまでに超民族的世界大帝国を武力と権力でつくりあげた国が幾つかあった。
しかし力には自ら限度があっていづれも短命で終っている。
全人類的なものは現代までなかった。
これに比し宗教は仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教いづれもその生命は永く千年を超えているがしかし宗教は排他性が強く全人類に及ぶものはなく、科学の出現によってその教義に矛盾が多いため全人類の理想を達成するものは現在見当らない。
二十世紀後半の現代において、我々は今全人類的地球的国際的共同社会を現実的に達成する可能性を見出したのである。
それは武力や権力の力でなく又宗教信仰の力でもない。
科学機械技術である。
しかしこの自然科学がつくったこの新しい文明の利器が決して理想の世界でなかったことがはっきりして来た。
むしろ人類史上未曽有の怖るべき規模の害悪をつくるものであることを知った。
即ち消費は美徳であるという無駄と公害が地球破壊と人間性の破壊をつくり出したからである。