いしずえ

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『日本精神通義』より

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茶道は実に幽玄なる世界、一期一会の世界

東洋文化は内面的精神的なる特徴を持ち、非常に陰原理を本分とする文化ということができます。茶を一つ飲むにいたしましても、茶は決して渇(かわき)を癒(いや)すというような単なる生理的満足でなく、茶というのもによって我々が精神生活を行う人格的に深い要求を満たすということがあの中に含まっております。したがって茶道というようなものになってまいりますと、実に幽玄なもので、その至れるにおよんでは、一期一会(いちごいちえ)の心得があります。

一期一会とはすなわち一生涯に一度会うことで、風炉(ふろ)の前に主客が端座する時、その時今生においてこれ限りかも知れぬ、人命というものは朝露のごときものである。朝あって夕を図ることができぬ、ここで会えば復た会うことは人間として期することができぬ、今生にこれを限りと思う気持になる。そこで汲(く)むと人間はふざけた心、雑念というものが悉く脱落して真心が現れる。こうなりますと、茶を飲むということは、深遠なる悟道(ごどう)の問題であります。